ランサムウェア被害が半期で過去最多の123件——6割が中小企業、侵入口の半分は「VPN機器」
警察庁が2026年9月に公表した資料で、2026年上半期(1〜6月)のランサムウェアの被害報告は123件となり、統計を取り始めた2020年下半期以降、半期として過去最多になりました。被害に遭った企業の約6割は中小企業です。
10月に入ってからも、ソフトバンク系のクラウドがランサムウェア攻撃を受けて495の企業・自治体に影響が出るなど、被害が続いています。数字から見えてくる狙われ方と、中小企業が今日からできる対策を整理します。
数字で見るランサムウェア被害(2026年上半期)
項目 | 内容 |
|---|---|
被害の報告件数 | 123件。半期として過去最多 |
被害企業の規模 | 中小企業が約6割(前年と同様) |
業種 | 製造業が約3割。卸売・小売業、情報通信業、不動産・物品賃貸業と続き、ほかにもさまざまな業種で被害 |
侵入経路 | VPN機器が約5割(被害組織へのアンケート) |
復旧にかかった費用 | 総額1,000万円以上が6割 |
復旧にかかった期間 | 1か月未満で復旧できたのは5割弱 |
攻撃の前ぶれ | 脆弱性を探す不審なアクセスが前年同期比で約51%増。大部分が海外から |
警察庁は、暗号化せずにデータだけを盗み、「公開する」と脅して支払いを求める手口も出ていると指摘しています。データが戻っても、盗まれた情報の公開という被害は残ります。
なぜ中小企業が狙われるのか
警察庁によると、最近はインターネットにつながっている機器のすきを突いて、外から遠隔操作で社内に入り込む手口が多く、メールの添付ファイルからの感染は少なくなっています。中でも多いのが、在宅勤務や出先から社内につなぐためのVPN機器です。
- 機器のソフトウェア(ファームウェア)が古いまま、修正が当たっていない
- 退職者や業者のアカウントが残っている、パスワードが使い回されている
- 担当者がいないため、侵入されても気づくまでに時間がかかる
大企業の取引先として、侵入の入口に使われることもあります。会社の規模に関係なく狙われる、と考えておく必要があります。
中小企業が今日からできる5つの対策
1. VPN機器・ルーターを最新にし、使っていないアカウントを消す
VPN機器やルーターの管理画面で、ファームウェアが最新か、メーカーから修正の案内が出ていないかを確認します。あわせて、退職者や以前の業者のアカウントが残っていないかを点検します。初期パスワードのままの機器の危険はルーターの初期パスワードを変えないと何が起きるかで解説しています。
2. 社外からの接続に、パスワード以外の確認を加える
VPNやリモート接続に多要素認証(スマホのアプリなどでの追加確認)を設定すると、パスワードが漏れても入られにくくなります。
3. バックアップを「切り離して」保管し、戻せるか試す
ランサムウェアは、つながっているバックアップまで暗号化しようとします。バックアップの1つはネットワークから切り離した場所に置き、実際に戻せるかを試しておきます。手順はランサムウェア対策で最も重要なバックアップの取り方にまとめています。
4. 預けているデータの置き場所を確認する
自社が狙われなくても、預けているクラウドが攻撃されることがあります。ソフトバンク系のクラウドが被害を受けた件では、データの復元は利用者自身のバックアップ頼みになりました。詳しくはソフトバンク系「IDCFクラウド」にランサムウェア攻撃、495の企業・自治体に影響をご覧ください。
5. 被害に遭ったときの連絡先を決めておく
画面に脅迫文が出た、ファイルが開けなくなった、というときに、誰に、どの順で連絡するかを決めておきます。警察への通報・相談先、取引先、保守業者の連絡先を1枚にまとめておくと、慌てずに動けます。作り方はセキュリティインシデント発生時の連絡フローの作り方を参考にしてください。
まとめ:入口はVPN機器、備えはバックアップと連絡先
- 2026年上半期のランサムウェア被害は123件で半期として過去最多。約6割が中小企業
- 侵入経路の約5割はVPN機器。復旧に1,000万円以上かかった組織が6割で、1か月以上かかるケースも半分を超える
- VPN機器の更新とアカウントの点検、多要素認証、切り離したバックアップ、連絡先の準備から始める
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参考:警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年9月)

