ランサムウェア対策で最も重要なバックアップの取り方
ある朝、パソコンを立ち上げたら見慣れない画面が表示され、「あなたのファイルはすべて暗号化されました。元に戻したければ◯◯円を支払え」という英語のメッセージが――。こんな悪夢のような状況を引き起こすのが「ランサムウェア」です。
「うちは個人だから狙われない」「小さな会社だから関係ない」と思っていませんか? 実は近年、ランサムウェアの被害は中小企業や個人にこそ広がっています。そして、いざ感染してしまったとき、あなたの大切な写真や仕事のデータを救う唯一の頼みの綱が「バックアップ」です。今回は、本当に役立つバックアップの取り方を、できるだけかみくだいてお伝えします。
そもそもランサムウェアって何が怖いの?
ランサムウェア(ransomware)は、「身代金(ransom)」と「ソフトウェア(software)」を組み合わせた言葉です。パソコンやスマホの中のファイルを勝手に暗号化(読めない状態に)して、「元に戻してほしければお金を払え」と要求してくる悪質なウイルスです。
怖いのは、次のような点です。
- 一度暗号化されると、専門家でも元に戻すのはほぼ不可能
- お金を払っても、データが戻る保証はまったくない
- 写真・会計データ・顧客情報など、すべてが一瞬で人質に取られる
つまり「感染したら、お金で解決できる」という話ではありません。だからこそ、感染しても被害をゼロに近づけられるバックアップが決定的に重要になるのです。
バックアップの黄金ルール「3-2-1」を覚えよう
セキュリティの世界には、昔から語り継がれている「3-2-1ルール」という考え方があります。難しそうに聞こえますが、意味はとてもシンプルです。
- 3つ……データのコピーを合計3つ持つ(オリジナル1つ+バックアップ2つ)
- 2つ……2種類の異なる保存先(例:パソコン本体と外付けハードディスク)に保存する
- 1つ……そのうち1つは、自宅や会社から離れた場所(オフサイト)に置く
「1つの場所にだけ保存していると、火事・盗難・故障で一発アウト」という発想から生まれたルールです。ランサムウェア対策としても、保存先を分けておくことが命綱になります。
ランサムウェア対策では「オフライン」が決め手
実は、ランサムウェア対策のバックアップには、普通のバックアップにはない特別なポイントがあります。それが「オフラインで保管する」ことです。
なぜなら、ランサムウェアはパソコンにつながっている保存先を片っ端から暗号化していくからです。常時つなぎっぱなしの外付けハードディスクや、ログインしっぱなしのクラウドも、まとめてやられてしまうケースがあります。
具体的にはこうする
- 外付けHDD・USBメモリは、バックアップが終わったら必ず取り外す(つなぎっぱなしにしない)
- バックアップ専用の機器を用意し、普段はパソコンから物理的に切り離しておく
- クラウドを使う場合は、バージョン管理(過去の状態に戻せる機能)があるサービスを選ぶ
ここで言う「コンセントを抜くように、線を抜いておく」状態のことを、専門的には「エアギャップ(air gap)」と呼びます。物理的に切り離されていれば、ウイルスはそこまで手を伸ばせません。
クラウドバックアップを使うときの注意点
「外付けの抜き差しは面倒」という方には、クラウドバックアップも有効な選択肢です。ただし選び方にコツがあります。
ランサムウェアは、クラウドと同期しているフォルダごと暗号化してしまうことがあります。その暗号化された状態が「最新版」としてクラウドにも同期されると、クラウド側のデータも台無しになりかねません。
そこでチェックしたいのが、次の機能です。
- バージョン履歴(過去◯日分のファイルに戻せる機能)があるか
- 削除や変更から一定期間、復元できる仕組みがあるか
OneDriveやGoogleドライブ、Dropboxなどの主要サービスには、過去のバージョンに戻す機能があります。契約内容によって保持期間が違うので、ご自身のプランで「いつまで遡れるのか」を一度確認しておくと安心です。詳しい設定方法は各サービスの公式ヘルプページで確認してください。
バックアップは「取って終わり」ではない
最後に、見落とされがちですが一番大事なことをお伝えします。それは「復元できるか定期的に試す」ことです。
せっかくバックアップを取っていても、いざというときに「ファイルが壊れていて開けない」「やり方が分からない」では意味がありません。最低でも数ヶ月に一度は、バックアップから実際にファイルを1つ取り出して開けるか確認しておきましょう。
今日からできる第一歩として、まずは「一番失いたくないデータ(家族写真・仕事のファイルなど)」を一つ決めて、外付けHDDにコピーし、終わったら線を抜く。これだけでも、もしものときの安心感がまったく違ってきます。
---
「自分のバックアップのやり方で本当に大丈夫?」「怪しいメールやファイルを開いてしまったかもしれない」――そんな不安があれば、BULLCOM SecurityのLINE無料相談をご利用ください。画面のスクリーンショットや状況を送っていただければ、危険性の判断や、あなたに合ったバックアップ方法を一緒に考えます。一人で抱え込まず、お気軽にメッセージをお送りくださいね。
