社内の「シャドーIT」を洗い出す方法
シャドーIT とは、会社が把握していないまま、社員が業務で使っているツールやサービスのことです。
- 個人のGoogleドライブに業務ファイルを置いている
- 部署の判断で契約したクラウドサービス
- 個人のLINEで取引先とやり取りしている
- 便利そうな無料ツールに、顧客リストをアップロードして加工した
どれも悪意はありません。むしろ「仕事を早く進めたい」という善意から生まれます。だからこそ厄介です。今日は、洗い出しと対処の方法を整理します。
なぜ問題なのか
1. 退職時に回収できない
個人アカウントに置かれたデータは、会社に消去を求める権利がありません。退職と同時に、そのまま持ち出されます。
2. 情報漏洩が起きても気づけない
会社が把握していないサービスは、監視も監査もできません。流出しても、誰も気づきません。
3. 契約が個人に紐づく
担当者が退職した瞬間、サービスが使えなくなることがあります。支払いが個人のカードだった、というケースも。
4. 生成AIへの入力
近年増えているのがこれです。顧客情報や機密文書を、無料のAIサービスに貼り付ける——サービスによっては、入力内容が学習に使われる可能性があります。
洗い出しの方法
方法1:経費精算を見る(最も確実)
個人のカードで支払われたサブスクは、経費精算に現れます。過去1年分を見返してみてください。
- 月額数百〜数千円の海外サービス
- 「◯◯ Pro」「◯◯ Premium」といった名称
経理データは、シャドーITの一次資料です。
方法2:無記名アンケートを取る
「使っているものを正直に書いてください。責めません」と明言したうえで、無記名で集めます。
質問例:
- 業務で使っている、会社が用意していないツールはありますか
- 業務ファイルを個人のクラウドに置いたことがありますか
- 取引先と、個人のLINE等でやり取りしていますか
責めない姿勢が伝わらないと、正直な回答は集まりません。 ここが成否を分けます。
方法3:ネットワークのログを見る
企業向けのファイアウォールやプロキシがあれば、どのサービスへの通信があるかが分かります。技術的には最も網羅的ですが、中小企業では設備がないことも多いでしょう。
方法4:ブラウザのブックマークを聞く
意外と有効です。「よく使うサイトのブックマークを見せてください」と頼むと、普段使っているツールが分かります。
見つけた後の対応
禁止するだけでは解決しません。 シャドーITは「必要だから使われている」からです。禁止すれば、より見えない形に潜ります。
ステップ1:なぜ使っているかを聞く
- 「会社のツールでは、この作業ができない」
- 「承認を待っていると間に合わない」
- 「単に便利だから」
業務上の必要から生まれたものは、代替を用意しないと止まりません。
ステップ2:3つに仕分ける
判定 | 対応 |
|---|---|
会社として正式採用する | 法人契約に切り替え、管理下に置く |
代替を用意する | 会社が承認したツールを提供し、移行してもらう |
禁止する | 理由を説明したうえで停止。代替がないなら要検討 |
「正式採用」という選択肢を持つことが重要です。現場が見つけた良いツールは、会社にとっても有用なことが多いのです。
ステップ3:申請の仕組みを軽くする
シャドーITが生まれる最大の理由は、正式な手続きが重いからです。
- 「新しいツールを使いたい」と気軽に相談できる窓口を作る
- 判断を早くする(1ヶ月待たせない)
- 少額なら部署判断で可、ただし届出は必須というルールにする
完全な自由も、完全な禁止も機能しません。 「届け出れば使える」が現実的な着地点です。
生成AIへの対応は特に急ぐ
現在、最も急いでルールを決めるべき領域です。
- どのサービスなら使ってよいかを明示する
- 入力してはいけない情報を具体的に決める(顧客名、個人情報、未公開の契約内容など)
- 法人向けプラン(入力が学習に使われない契約)の導入を検討する
「使うな」だけでは守られません。「これなら使っていい」を示すことが必要です。
洗い出しと運用設計、ご相談ください
「そもそも何が使われているか分からない」「禁止すべきか、認めるべきか判断がつかない」——こうしたご相談を承っています。
BULLCOM Security では、シャドーITの洗い出しと、利用ルールの策定をご支援しています。あわせて、社員向けの講習(座学 ¥49,800〜)で「なぜ届け出が必要か」を伝えるところからお手伝いできます。
現場を敵に回さない形で進めることが大切です。まずは現状をお聞かせください。お気軽にご相談ください。

