会社のメールアカウントが乗っ取られた症状と対処法
「いつも通り朝メールを開いたら、送信済みフォルダに自分が書いた覚えのない英語のメールが何十通も並んでいた」——ある会社の経理担当の方が、実際に体験した話です。気づいたときには取引先から「振込先が変わったと連絡が来たけど本当ですか?」という問い合わせが入っていました。
会社のメールアカウントの乗っ取りは、個人のSNS乗っ取りとは比べものにならない被害につながります。お金、取引先の信頼、そして社内の他のシステムまで、芋づる式に狙われるからです。「うちみたいな小さい会社が狙われるわけない」と思っている方ほど、今回の内容を知っておいてほしいと思います。
そもそもどうやって乗っ取られるのか
メールアカウントが乗っ取られる入り口は、だいたい決まっています。
- フィッシングメール:「メール容量が上限に達しました」「パスワードの有効期限が切れます」といった偽メールから、本物そっくりのログイン画面に誘導され、IDとパスワードを入力してしまう
- 使い回しパスワードの流出:別のサービスから漏れたパスワードを、メールでも使い回していた
- 単純なパスワード:会社名+123 のような推測されやすいもの
特に法人を狙う攻撃者は、ホームページに載っている info@ や経理担当のメールアドレスを事前に調べたうえで、その会社向けにカスタマイズした文面を送ってきます。普段やり取りしているMicrosoft 365(microsoft.com)やGoogle Workspaceのログイン画面を精巧にまねた偽サイトが使われることも多く、見分けるのは簡単ではありません。
乗っ取られると、実際に何が起きるのか
「メールを盗み見られる」だけだと思われがちですが、被害はそこにとどまりません。
1. 取引先への「なりすまし詐欺(BEC)」
最も金銭被害が大きいのがこれです。攻撃者はあなたのメールを静かに読み続け、請求や入金のやり取りを把握します。そして取引のタイミングを見計らって、あなたになりすまし「振込先口座が変更になりました」というメールを取引先に送ります。取引先はいつもの担当者からのメールだと信じて、攻撃者の口座に振り込んでしまう——という流れです。
2. 社内・顧客への被害の拡大
乗っ取ったアカウントから、社内の全員や顧客リスト宛てにウイルス付きメールがばらまかれることがあります。「あの会社からウイルスメールが来た」と広まれば、信用は一気に傷つきます。
3. 他システムへの侵入
メールは「パスワード再設定」の受け取り先です。メールを握られると、そこからクラウドサービスや会計ソフトなど、他のアカウントまで次々と乗っ取られる危険があります。
「乗っ取られた症状・サイン」を見逃さない
被害を最小限にするには、早く気づくことが何より大切です。次のような兆候があれば要注意です。
- 送信済みフォルダに、自分が書いた覚えのないメールがある
- 受信トレイから特定のメールが勝手に消えている(攻撃者が証拠を隠している)
- 「あなたから不審なメールが届いた」と取引先や同僚から指摘される
- 身に覚えのない海外からのログイン通知が届く
- 受信メールが勝手に「既読」や「ゴミ箱」に振り分けられる設定(自動転送・自動振り分けルール)が追加されている
最後の「勝手な転送ルール」は特に見落としがちです。攻撃者は、あなたのメールのコピーが自分に届くよう設定を仕込み、こっそり監視を続けます。
乗っ取られたとわかったら、すぐにやること
慌てず、しかしスピーディに次の手順で対応してください。
1. パスワードをすぐ変更する:他のサービスと使い回していたものも一緒に変える 2. 不審な転送・振り分けルールを削除する:設定画面を開き、見覚えのない自動転送先がないか確認する 3. ログイン中の端末を強制ログアウトする:Microsoft 365やGoogle Workspaceには、すべての端末からサインアウトさせる機能がある 4. 取引先・社内に注意喚起する:別の連絡手段(電話など)で「不審なメールが届いても、振込先変更には応じないでください」と伝える 5. 二段階認証(多要素認証)を設定する:パスワードに加えてスマホ認証を必須にすれば、パスワードが漏れても侵入を防げる
そして再発を防ぐ一番の対策が、この二段階認証です。導入の手間はわずかですが、効果は絶大です。まだ設定していない会社は、これを機にぜひ全員分を有効にしてください。
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不安なときは、まず相談を
「このログイン通知メール、本物?」「うちのアカウント、もう乗っ取られてる気がする」——そんな不安を一人で抱え込む必要はありません。判断を迷っている間にも被害は広がってしまいます。
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