中小企業のIT資産管理、Excelで始める最小構成
「うちの会社にパソコンが何台あるか、正確に答えられますか?」——中小企業のご支援に入るとき、最初にお聞きする質問です。即答できる会社は、実はそれほど多くありません。
台数が分からなければ、何が古いか、何にアップデートが当たっていないか、誰が何を持っているかも分かりません。今日は、専用ツールを買わずにExcelで始める最小構成をご紹介します。
なぜ資産管理がセキュリティの土台なのか
攻撃者は、一番弱いところから入ってきます。
- サポートが終了したWindowsが1台だけ残っている
- 退職者に貸したままのノートパソコンが行方不明
- 誰も使っていないサーバーが、更新されないまま動き続けている
こうした「忘れられた機器」は、誰も見ていないので侵入されても気づかれません。逆に言えば、一覧さえあれば大半のリスクは可視化できます。
最小構成:この6列から始める
完璧を目指すと続きません。まずはこれだけで十分です。
列 | 内容 | なぜ必要か |
|---|---|---|
管理番号 | PC-001 など | 現物にシールを貼って対応させる |
機種・型番 | 例:Let's note CF-SV | サポート期限の確認に使う |
OS | Windows 11 / macOS 14 等 | サポート切れの検出に直結 |
利用者 | 氏名または部署 | 退職・異動時の回収漏れを防ぐ |
設置場所 | 本社2F / 在宅 等 | 棚卸しのときに探せる |
購入・貸与日 | 年月 | 更新計画の目安になる |
「OS」と「利用者」の2列だけでも、価値の8割は取れます。 完璧な台帳より、更新され続ける不完全な台帳のほうが役に立ちます。
余裕があれば足したい列
- ウイルス対策ソフトの有無と期限
- ディスク暗号化の有無(BitLocker / FileVault)
- 資産の種別(PC / スマホ / プリンター / ルーター / NAS)
- 備考(故障歴、貸出中など)
ネットワーク機器を入れておくのは特におすすめです。ルーターやNASは「誰の担当か」が曖昧になりやすく、更新が止まりがちだからです。
作り方の手順
1. 現物を数える日を決める
一気にやろうとすると終わりません。半日だけ確保して、まず本社分を数える。支店は後日で構いません。
2. 現物にシールを貼る
管理番号を書いたシールを貼りながら数えます。貼る作業とリスト作成を同時にやるのがコツです。後から突き合わせようとすると必ずズレます。
3. OSのバージョンを確認する
Windowsなら「設定 → システム → バージョン情報」で確認できます。この時点で、サポートが切れている機器が見つかることがよくあります。
4. 更新のタイミングを決める
- 新規購入・貸与のとき
- 退職・異動のとき
- 年1回の棚卸し
3つ目を予定に入れておかないと、台帳は必ず陳腐化します。「毎年4月に見直す」と決めてしまうのが確実です。
Excelで管理するときの注意
- ファイルは共有サーバーに置き、担当者を1人決める(各自がコピーを持つと分裂します)
- 台帳自体にパスワードや管理者IDを書かない(漏れたときの被害が大きくなります)
- バックアップを取る(台帳が消えると振り出しに戻ります)
規模が大きくなって管理しきれなくなったら、そのときに専用ツールを検討すれば十分です。多くの中小企業は、Excelで足ります。
台帳から見えてくること
一覧ができると、こういう判断ができるようになります。
- サポート切れOSが◯台あるので、今期中に入れ替えが必要
- ウイルス対策ソフトの期限が切れている端末が◯台ある
- 利用者不明の端末が◯台ある(=回収漏れ)
「なんとなく不安」が「あと◯台」に変わります。 予算を取るときの説明材料としても、これは強力です。
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台帳のひな形もご用意しています。まずは現状をお聞かせください。LINEまたはお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
