内部不正による情報漏洩を防ぐ3つの対策
「うちは社員も少ないし、みんな顔の見える関係だから内部不正なんて起きないよ」——そう思っていませんか? でも実際の情報漏洩事故を調べると、外部からのサイバー攻撃よりも「社内の人間」が関わったケースが意外と多いのです。退職する社員が顧客リストをこっそり持ち出した、業務委託先のスタッフがデータを抜き取った、悪気なく個人のUSBにファイルをコピーして紛失した——こうしたトラブルは、規模の大小を問わずどんな会社でも起こりえます。
今回は、中小企業でもすぐに取り組める「内部不正による情報漏洩を防ぐ3つの対策」を、専門用語をかみくだいてご紹介します。
そもそも「内部不正」とは?
内部不正とは、社員・元社員・業務委託先など、その会社の情報に正規にアクセスできる立場の人が、データを持ち出したり悪用したりすることを指します。大きく分けると次の3パターンがあります。
- 故意の持ち出し:退職前に顧客名簿や設計データを私物に保存して転職先へ持っていく
- 金銭目的の漏洩:名簿業者などにデータを売る、競合に情報を渡す
- うっかりミス:個人のクラウドやUSBに業務ファイルを入れて紛失・流出させる
注目すべきは、悪意のあるケースだけでなく「うっかり」も内部不正に含まれるという点です。つまり、悪人を疑う前に「ミスが起きにくい仕組み」を整えることが、実はいちばん効果的なのです。
対策1:アクセス権限を「必要な人だけ」に絞る
最初の対策は、情報に触れられる人をできるだけ少なくすることです。これを「最小権限の原則」と呼びます。
よくあるのが、「全社員が共有フォルダの全データを見られる」状態。便利ではありますが、経理データや顧客の個人情報まで誰でも開ける状態は危険です。次のように整理してみましょう。
- 部署ごと・役割ごとにフォルダを分け、閲覧・編集できる人を限定する
- 退職者・異動者のアカウントはその日のうちに削除・無効化する
- 共有アカウント(みんなで同じIDを使い回す)をやめ、一人ひとり個別のIDにする
個別IDにしておくと、「いつ・誰が・どのファイルを開いたか」が記録に残ります。これが次の対策にもつながります。
対策2:操作の「ログ(記録)」を残して見える化する
2つ目は、誰がどんな操作をしたかの記録、つまり「ログ」を残すことです。
ログと聞くと難しそうですが、要は「データの出入りを記録する防犯カメラ」のようなもの。次のような記録が残っていれば、万一の際に原因を追えますし、「見られている」という意識が不正の抑止にもなります。
- ファイルのダウンロード・コピー・印刷の記録
- USBメモリなど外部機器の接続履歴
- 業務時間外の大量ダウンロードなど、不自然な動きの検知
クラウドサービス(Microsoft 365 や Google Workspace など)を使っている場合、管理者画面でこうした操作ログを確認できる機能が標準で備わっていることが多いです。まずは自社の管理画面に「監査ログ」「アクティビティ」といった項目がないか、一度のぞいてみてください。
対策3:ルールを決めて「全員で共有」する
3つ目は、技術ではなく「人」への対策です。どんなに仕組みを整えても、社員がルールを知らなければ意味がありません。
- 業務データを個人のUSB・私用クラウド・私用メールに送らないことを明文化する
- 入社時・退職時に「秘密保持」に関する書面を交わす
- 「これは持ち出してOK/NG」の線引きを具体例つきで周知する
ここで大切なのは、社員を犯人扱いするのではなく「うっかりミスでお互いが困らないように」という前向きな姿勢で伝えることです。ルールが「自分たちを守るためのもの」だと納得できれば、現場の協力も得やすくなります。年に1回でも、短い勉強会や注意喚起の場を設けるだけで意識は大きく変わります。
まとめ:完璧でなくても「一歩ずつ」で十分
内部不正対策というと大がかりに聞こえますが、やることはシンプルです。
1. アクセスできる人を絞る(最小権限) 2. 操作の記録を残す(ログの見える化) 3. ルールを決めて共有する(人への対策)
この3つを少しずつ進めるだけで、リスクは確実に下げられます。最初から完璧を目指す必要はありません。
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