【実物】件名が「hi」だけのメールが届く理由
当社に届いた迷惑メールを整理していて、少し変わったものが混じっていました。件名が「hi」だけ。もう1通は「hello」だけ。日本語のものでは、件名が「通知」の一語だけ、というものもありました。
本文も短く、リンクすら貼られていないことがあります。「何がしたいのか分からないメール」——実はこれ、目的がはっきりしているメールです。今日はその正体を解説します。
目的は「このアドレスは生きている」の確認
こうしたメールの多くは、アドレスが実在するかどうかを確かめるために送られています。
攻撃者は、流出したメールアドレスのリストを大量に持っています。ただし、その中には既に使われていないアドレスも大量に混ざっています。本格的な詐欺メールを送る前に、まず生きているアドレスだけを選別したいのです。
そのための「テスト送信」が、件名「hi」の正体です。
どうやって生死を判定しているのか
1. エラーで返ってくるかどうか
存在しないアドレスに送ると、メールサーバーからエラーが返ってきます。エラーが返らなかった=そのアドレスは実在する、と判定できます。これが最も基本的な方法です。
2. 開封したかどうか(トラッキング画像)
本文に、目に見えない極小の画像を埋め込む手口があります。メールを開くと、その画像が攻撃者のサーバーから読み込まれ、「開封された」という記録が残ります。
リンクを踏まなくても、開いただけで反応が返るのがポイントです。
3. 返信したかどうか
「間違いメールですよ」と親切に返信してしまうと、それだけで最高品質の"生きているアドレス"認定になります。しかも「反応する人」という付加情報まで渡ることになります。
だから、どうすればいいのか
返信しない
これが最も重要です。心当たりのないメールには、いかなる内容でも返信しない。 「アドレスが違います」も「送らないでください」も、全部「生きている」の証明になります。
画像の自動読み込みをオフにする
多くのメールアプリで設定できます。開封トラッキングを防げます。
- Gmail:設定 → 全般 → 画像 → 「外部画像を表示する前に確認する」
- Outlook:オプション → トラストセンター → 自動ダウンロード
- iPhoneのメール:設定 → メール → プライバシー保護
この設定は、他の迷惑メール対策にもそのまま効きます。 まだの方は、今日設定しておくことをおすすめします。
迷惑メールとして報告する
削除するだけでなく「迷惑メールを報告」を使うと、フィルターの学習が進みます。同種のメールが届きにくくなります。
「hi」の次に来るもの
生存確認が済んだアドレスには、本番のメールが送られてきます。当社の場合、その後に届いたのは次のようなものでした。
- ポイントの受け取りを装うフィッシング(複数ブランド)
- カード会社を装う「本人確認」メール
- 架空請求
つまり、「hi」が届いたということは、これから本番が来るというサインでもあります。届いた時点で、身構えておく価値があります。
アドレスはどこから漏れたのか
多くの場合、あなたが悪いわけではありません。
- 利用していたサービスからの情報流出
- 取引先のパソコンが感染し、アドレス帳ごと抜かれた
- Webサイトに公開しているアドレスを機械的に収集された
自分のアドレスが流出しているかは、Have I Been Pwned のような流出確認サービスで調べられます。該当していたら、そのサービスのパスワードを変更してください。
会社のアドレスなら、もう一段の対策を
法人の場合、問い合わせ用アドレスをサイトに直接書かないのが有効です。
- 問い合わせフォームを設置し、アドレスは公開しない
- どうしても公開するなら、画像にする、または
@を工夫する - 部署ごとの汎用アドレス(info@、support@)は特に狙われやすい
当社のサイトでも、問い合わせフォーム側にスパム対策を実装しています。フォームに切り替えるだけで、迷惑メールは目に見えて減ります。
迷惑メールが増えて困っているなら
「最近やたらと迷惑メールが増えた」というご相談は多くいただきます。フィルターの設定、アドレスの見直し、問い合わせフォームの導入まで、状況に応じてご提案できます。
BULLCOM Security の LINE 無料相談では、届いたメールのスクリーンショットからの判定も承っています。「これ、開いて大丈夫でしたか?」という確認だけでも構いません。お気軽にご相談ください。
